« みえるもの/みえないもの | トップページ | 春 »

2012年3月18日 (日)

不便であることがコミュニケーション

塩田千春さんの「私たちの行方」展を観に猪熊弦一郎現代美術館に行った。
会期初日の今日はアーティストトークがあり、作家本人に会うことが出来た。
そのレクチャーの中で印象に残った話を記したいと思う。

2010年に開催された瀬戸内芸術祭での出展作品
「遠い記憶」の制作について話していた時のこと。
この作品は瀬戸内にある豊島という小さな島で制作された。
その島での制作において、スタッフからこんなことをいわれたらしい。
○島の人と出会ったら挨拶をしてください。
○島の人にお金を渡すのはやめてください。
この二つに気をつければ大丈夫ですとのことだった。

例えば制作に使う釘が無くなった時、
船に乗って高松まで買いに行かなければいけない。
港に行くまでにもバスに乗らなければいけない。
でもそのバスや船は一日に数便しか出ていない。
簡単にいってしまえば不便なことだけど、
その不便さの中にコミュニケーションが生まれるといっていた。

普段から挨拶をして町の人と会話をしていれば
困った時に助けになってくれる。
釘が足りなくなってしまった時に、
もしかしたら持ってる釘を分けてくれるかもしれないし
港まで車を走らせてくれるかもしれない。
そんなやり取りが人と人を繋ぎ大切なことを教えてくれるのだ。
便利さから生まれるものでもお金から生まれるものでもない。
人情の中にあるものだ。

都会であれば、欲しいものは何でもすぐに手に入るけれど
大切な何か、人間の本質的なものが欠落している。
それが現代の日本のスタイルだ。

そんな問題提起がこの島の話の中には込められていたように感じた。

|

« みえるもの/みえないもの | トップページ | 春 »

展覧会」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。